房雄と初子は友人达とオートバイの远乗りに出かけ、帰途、トラックにはねられてしまった。初子の母亲とよ枝は、かけつけた病院で医师の畔柳と二十年振りで再会した。二人はかつて、亲の反対をおし切って一绪になったが、とよ枝は実家に连れ戻され、畔柳は戦争に駆り出された。その时、お腹には初子が宿っていた。二年后とよ枝は理解のある宫崎と再婚した。そして宫崎が死んでからは小呗の师匠をして初子を女手一つで育てて来たのだ。初子は母の过去を知らなかった。退院した初子は、畔柳の世话でS・K出版社に勤めた。房雄の父はある会社の重役で、家柄の违いを理由に初子との交际を禁じていたが、房雄は取りあわなかった。その后、畔柳は小呗を习いに家にやって来た。母も浮々とした态度だった。それを不洁に思う初子は家を出る决心をした。同じ会社に勤める朝子も母亲の再婚でショックを受けてアパートで一人暮しをしていたので彼女はそこに移った。とよ枝は初子に総てを打ち明けようとしたが、畔柳が九州の病院に行くことになり事情が変った。畔柳は初子をアパートへ访ねてきて、「ママの家へ帰ってくれたまえ、仆は九州に行く。正直いうと仆はママが好きだ、结婚しようと思えば出来ないことでない。でも初子のママに対する理想像に疵をつけないことにする……ママと仲良くやってくれ」と頼んだ。初子は家に帰り平和な日日が流れた。初子は见习い社员から正社员になった。その夜、家ではとよ枝が御驰走をこしらえて待っていた。その食卓には三人分の食事が并んでおり、不思议がる初子にとよ枝は畔柳にも祝ってもらうのだと答えた。そしてとよ枝は畔柳が九州で死んだことを告げ、これまでの过去をすべて话した。初子はそれを闻くといきなりビールを一息に饮んだ。そして畔柳が好きだった小呗を呗い、畔柳の写真の前にビールを注ぐのだった。その小呗をとよ枝も泣きながら呗った。たまらなくなって初子は表へ飞びだし、房雄とオートバイを飞ばした。房雄は初子に结婚を申込んだ。